Interview

Especiallyデザイナー・オーナー 神谷俊子氏

大塚:神谷俊子さんにお話を伺いします。

Q.現在の職種、業界を教えてください。
ワンピース専門のオーダーメイドサロンEspecially デザイナー兼オーナーです。
Especially公式サイト

大塚:ここまでのキャリアパスを教えてください。
神谷:大学卒業後、念願だった航空業界就職が決まり2002年ANA LOGISTICS SERVICE株式会社(現ANA CARGO株式会社)に入社しました。運航業務・輸出入業務に携わり、約3年成田空港に勤務になりました。その後、羽田空港国際ターミナル立上げメンバーとして抜擢され、約6年半2010年10月オープンに向けて主に人材育成を担当しました。
2011年3月に退職、4月に異業種であるアパレル事業で起業しました。定期的にホテルニューオータニ東京・博多にて展示会を開催し、青山、西麻布から現在は三田にて完全予約制のショールームをオープンしています。

大塚:航空業界からアパレル、しかも一気に起業!すごい勢いがありますね。この辺り、とても興味があるので順を追って聞かせてください。大学生の時、就職活動でこうだったらもっとよかったと思うことがあれば教えてください。
神谷:社風や働きやすさなどインターネットからの情報だけではどうしてもわからず、就職活動前にOG訪問より気軽な形で社会人の方のお話を聞けるような場があったらよかったと思います。

【模範解答にとらわれず自信をもって自分をアピール】

大塚:学生時代の就活の印象は、いかがですか?
神谷:わたしが就職活動をしていた年は就職氷河期と言われていた年です。
なので、正直自分の希望している企業に就職したい気持ちよりもどこか内定をもらえればいいというような印象が強かったように記憶しています。

大塚:就活で努力したことがあれば教えてください。
神谷:模範解答にとらわれるのではなく、一つでもいいので自信をもって自分をアピールできること、そこにフォーカスし、あまり周りの情報に影響されることのないよう心掛けました。

大塚:現在の仕事と出会ったきっかけは何でしょうか?
神谷:前職の海外出張の際、オーダーでお洋服を作ったことがきっかけです。
オーダーで作ったお洋服を周りにいるお友達に欲しいと言われることが多かったこと、当時はそのようなお店が日本にはあまりなかったことに気が付いたことがきっかけです。
現在は7年前と比べて、女性のオーダーメイド店が増えてきました。

【起業:何かを得るためには何かを手放す必要がある ~手放す覚悟は出来ていた~】

大塚:ビジネスを立ち上げるきっかけは何だったのでしょうか?
神谷:大きな企業にいたからこそ、自分の力を試してみたかったです。異業種での起業だったため、出来るかどうかなんてわからなかったけど、自分には絶対に出来ない理由も見つかりませんでした。
学生時代に感じていた「空港で働きたい」という想いから、「空港を利用する仕事がしたい」と気持ちが変化していったことも理由の1つです。

大塚:不安・心配はありませんでしたか?
神谷:「安定」を手放す覚悟が出来ていたので、不安は一切ありませんでした。
まだ起きる前から不安を感じ、いま目の前にあることに力を注ぐことができなかったら勿体ないです。極論ですが、転職・起業に失敗しても死にません。語弊のないように言うと、私の考える起業の規模感です。だから失敗したらまたチャレンジすればいいのです。
わたしは、もし起業がうまくいかなかったら、高校時代アルバイト経験があるドトールで、またアルバイトすればいいかな~(笑)くらいに思っていました。働き方を勝手に選んでいるだけで、働こうと思えばどこでも働けるものです。

また繰り返しになりますが、手放す覚悟ができたうえでの起業という選択です。何かを得るためには何かを手放す必要がある、そう思っています。
なので、定期的に、だいたい月に1度、断捨離をしています。環境というか身をおく空間と心は何か繋がっているところがあります。定期的に自宅の断捨離をすることによって心と頭の整理につながり、常にチャレンジ精神・向上心を保つことができるような気がします。

大塚:起業の際は、どのようなことを心がけましたか?
神谷:だれでも起業することはできると思います。ただ重要なことは継続すること。同じことをただ継続するだけでは、日々新しいもの・情報が溢れ出している中、衰退してしまうということです。
だからこそ継続するために工夫や努力を惜しまないこと。会社員時代に比べ自由な働き方ができる反面、責任は全て自分に返ってきます。自由と責任。これは日々肝に銘じていることです。

大塚:起業に向けて何かやっていたことがあれば教えてください。
神谷:物事の捉え方、考え方など視野を広げたかったので、人と会う時間を多くとっていました。

大塚:現在の仕事に就く前後で変化はありますか?
神谷:変化は2点あります。まず時間の使い方・過ごし方。次に、企業で働くこと、自ら事業を行うこと、働き方が違うこと。
でも共通していることもあります。それは、目の前の仕事に精一杯取り組むという姿勢です。

大塚:ご自身では、どのような人と一緒に働きたいと思いますか?
神谷:これは私自身が心得としていることでもあります。
目の前のことに感謝でき、日々学ぶ姿勢を忘れない人。ないものにフォーカスするのではなく、あること、そしてこれから得たいと思うことにフォーカスできる人。そして、ひと(他者)の喜びを一緒に喜べる人。

【自分を求めてくれるところに身を置くことも大切】

大塚:就職活動する学生へ一言お願いします。
神谷:自分がやりたいこと、働いてみたい業種を目指すことは当たり前だと思いますが、時には全ての条件が満たされていなくても自分を求めてくれるところに身を置くことも大切だと思います。与えられた仕事を精一杯こなすこと、その先に自分の目指したいものが見えるときがあります。わたし自身、漠然とした「空港で働きたい」という想いだけで就職活動をしました。結果的にその漠然な思いを経て、本当に自分のやりたいこと、めざしたいところが見えたように感じます。そんな社会人スタートもありだと思います。就職活動をスタートする前に、自分はどんなことに喜びを感じ、どんな環境に身を置きたいのか、自分と向き合うことがとても大切です。
自分の頭の中のイメージだけで決断をするのではなく、興味のある場所(空間や会社の近くでもいいです)に出向く、そしてその場で自分が働くことがイメージできるのか、そのような行動も大切だと思います。就職活動は情報が溢れています。だからこそ過多な情報にふりまわされることなく、自分の軸を大切にしてください。

大塚:俊子さん、ご自身についても教えてください。
これまで(公私問わず)楽しい(楽しかった)ことは何でしょうか。
神谷:自分がやりたい!と思ったことが自然にできるようになっていたこと。少しの背伸びがいずれそれが普通のこととなることです。
最近、特に楽しいと思っていることは乗馬です。御殿場にある乗馬クラブに入会し、定期的に御殿場へ通っています。

大塚:これまで(公私問わず)大変な(だった)ことは何でしょうか?
神谷:情報が溢れている昨今、周りに流されることなく自分の軸を保つことです。
あとは、起業をして一度だけ挫折しそうになったことがありました。資金繰りが苦しく、周りからのプレッシャーもあり、もうこの大きなプレジェクトが終わったら辞めてしまおうと思ったことがありました。でも、好きではじめた事業、そんな簡単に辞めることなんてできないものです。それ以来、辞めるということは考えたことは一度もないです。

【「伝える」と「伝わる」は違う】

大塚:公私共にいろいろな方々とコミュニケーションを取っていると思います。コミュニケーションで心がけていることがありましたら教えてください。
神谷:相手にとっての心地よい距離感をはかり、コミュニケーションをとることを心掛けています。相手が望んでいる距離感を知るためには、相手の表情・言動など見ること、そして何より相手の話を傾聴する姿勢、そして相手はどのようなことを伝えたいと思っているのかと理解しようとする姿勢が大切だと思います。

大塚:人に伝える時に心がけていることがあれば教えてください。
神谷:「伝える」と「伝わる」は違うということです。
相手に伝える手段には、言葉以外に表情、声のトーンなど無意識に発しているものもあります。仕事柄いろんな方々とお会いする場面があるので、出来るだけアポイントの約束の間には時間をとるようにしています。自分自身リセットする時間を設け、心をフラットにして人と会うようにしています。

大塚:ロールモデルがいたら教えてください。
神谷:業種は全く異なるのですが、一人の女性として、そしてビジネスパーソンとして尊敬している女性がいます。
ドリームガールズプロジェクト代表 温井和佳奈さんです。

大塚:ご自身を構成するアイデンティティの要素は何でしょうか?
神谷:心配性な楽観主義。
決断するときは大きな決断ほど直感で。やると決めたからにはどんな状況でも対応できるよう細心の注意を払い石橋を叩いてわたるような心配性です。

大塚:幸せなのはどんな時ですか?
神谷:些細なことでも幸せと感じ取れる心持ちを心掛けています(笑)
最近特に幸せだな~と感じたことは、御殿場で富士山を見ながらお馬さんと散歩しているときですかね(笑)

大塚:今後のビジョンを教えてください。
神谷:今まで培ってきたノウハウを伝えること。今年からOEM契約を受けるべく準備を進めています。時代とともに変化していくお客様のご要望、そのご要望に応えられるようアンテナを張りながら商品作りをしていきたいと思います。子供服やペットの服などのびしろは大いにありますので!

大塚:貴重なお話ありがとうございます。


神谷俊子
2002年昭和女子大学文学部卒業後、ANA LOGISTICS SERVICE株式会社(現ANA CARGO株式会社)へ入社。約9年半航空業界に勤務したのち、2011年オーダーワンピースEspeciallyを立ち上げる。2013年西麻布に完全予約制のショールームをオープン、2016年に三田へ移転し現在に至る。東京・福岡など定期的にホテルスイートルームにて展示会を開催。過去には、介護業界・ウェディング業界の制服デザイン・制作を実施。

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