Interview

海附 雅美氏

大塚:海附雅美さんにお話をお伺います。よろしくお願いします。
まずアナウンサーになろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
海附:きっかけは ミーハーな気持ちでした、笑。
甲子園球場の近くで育ったので、小さい頃から 野球が大好きでした。特に高校野球は 何度も何度も応援に行った記憶があります。
その時見た スタンドからのアナウンサーの応援リポートが目に留まり 「そうか!!大好きな野球選手に近づくには この方法があったか!!!」と、笑。
本当に 恐ろしい程 よこしまな気持ちで アナウンサーと言う仕事を見ていました。
また 丁度その頃、野球選手と女性アナウンサーが結婚すると言う報道が相次ぎ 確信を得てしまった私は 不順な動機のまま ますますアナウンサーと言う仕事に注目するようになりました。
でも高校1年生の冬、稚拙だった私の アナウンサーへのイメージは 激変しました。
阪神淡路大震災発生。
それまでの生活からは想像もできない地獄絵図。
言葉にできない深い悲しみと恐怖。

毎日毎日 来る日も来る日も 伝えてくれました。。。「私達の今」を。
アナウンサーが 現状を伝える事の重要性、必要性を 嫌と言うほど見せつけられたのです。被災者にとっての情報、支援する側にとっての情報、、、全てが正しくお互いに伝わらないと 私達に明日は無かったのです。
それからは言うまでもなく、、、様々な状況下で活躍する、アナウンサーと言う仕事に 本当の意味で 魅了され始めました。

大塚:そうだったんですね!阪神淡路大震災、本当に大変だったと思います。
では、アナウンサーになるためにやっておいてよかったことは何でしょうか?
海附:2つあります。
まず1つ目は、大学時代にアナウンサー学校に通った事。
私が通った 大阪にあるアナウンサー学校は、アナウンス技術だけでなく、とにかく人間力を徹底的に身につけさせて下さいました。
「最近の若い子だから、、、」「まだ大学生だから、、、」なんて言葉は一切通用しませんでした。
アナウンサーである前に 1人の人間である事を忘れてはいけない。全ての人や物事に対して感じ取る力と、礼儀やマナーは、あの頃 教わった事が今も根底にあります。
2つ目は、その年齢でしか出来ない事を 1つでも多く経験しておく事。
勉強も 恋も バイトも 旅も クラブ活動やサークル活動も、アナウンサーになる為だけに 学生時代を過ごすより、喜怒哀楽を全身で感じながら 過ごした学生時代の思い出の方が アナウンサーには必要だからです。

大塚:2つ目は特に同感です。大事ですね。では実際に局アナなってからのお話を。憧れていた世界に実際に入った後、違いはありましたか?
海附:やはり、アナウンサーは「憧れ」から入る職業の1つだと思います。私も、もれなくそのギャップに苦しんだ人の1人ですね。笑
テレビ局のアナウンサーに合格するまでにも、覚悟はしていたし、キラキラしているだけの世界ではない事も知っていましたが…アナウンサーはもはやテレビやラジオに出るだけの時代ではありません。
実際にネタを探して、調べて、取材して、時にはカメラも回して、ナレーション原稿を書いて、編集に立ち会って、文字スーパーを発注して、BGMを選んで、、、VTRを完全に出せる状態にしてから やっと本番、といった生活でした。
本番までは、ひたすら気の遠くなる様な作業の繰り返しです。
入社4年目には記者クラブにも所属し、自分の担当コーナーだけでなく、デイリーニュースの原稿も書く様になりました。そうなるともう、本番数分前までいつもデスクに座りパソコンを パチパチ パチパチ。アナウンサーとしての、いざ本番!!「こんばんわ♪」と言った後、その日 自分のコーナーで紹介するネタが「今日は何だったっけ?」と吹っ飛んでしまっている事も しばしば。笑
毎日の作業に追われて 苦しくて、苦しくて、泣きながら 夜中まで仕事をしていた時には気付けなかったのですが、アナウンサーにとってその全てを知る事がどれ程大切な事か、、、アナウンサー歴が長くなればなるほど、そう実感しています。
ただ 「原稿を読む人 」ではなく、「原稿を読み、伝える事が出来る人」に、、、なれる様な気がしています。

大塚:新人から試行錯誤して苦しくて泣いて…頑張っていた時代を思い出しますね(苦笑)
海附:本当にそうです(苦笑)。何事もですが、憧れと現実の間に必ずギャップはあると思います。
現実が憧れを超越する程、辛いものだったとしても、なりたくて なりたくて やっとなれた この「アナウンサー」と言う職業を、私は1度も嫌いになった事はありません。

大塚:力強い!アナウンサーを目指す皆さんへのアドバイスをお願いします。
海附:私がアナウンススクールに通っている時、先生はこう話して下さいました。
「アナウンサーに必要なものは、知性、品性、感性です。この3つが揃っている人から内定します。」
つまり、1人の人間として、大人として、日々 当たり前の事を 当たり前にする事だと思うのです。
日々の暮らしの積み重ねこそが 知性、品性、感性を豊かにし、特異な何かより大切な 素質となる事を 私自身も感じてきました。
例えば
●目を見て挨拶をする
●マナーを守る
●人を大切に思う
●心の躍動に敏感になる
●四季を感じる
●ご飯をしっかり食べる
●知りたい気持ちを持つ  などなど、、、
決して特別ではない日々の生活をきちんと送っているかどうか。
プラスαの特技は、そのベースがあってこそ輝きを増す 最後の刀になるのではないでしょうか。是非 意識してみて下さい!!

大塚:熱いメッセージありがとうございます。
少し話題を変えてコミュニケーションについてお伺います。公私ともにコミュニケーションでこころがけていることは何でしょうか?
海附:話の受け答えをする時、どんな場面でも否定する言葉から発しない事です。先ずは相手に同意する相槌を打ってから、少し付け足す形で自分の考えや思いを伝えるように心がけています。
例えば、アナウンサーはインタビューをする機会が沢山あります。
こちらが聞きたい意図とは違う話をし始めた場合、頭から「そうではなくて!」と否定してしまうと、インタビューを受けた人は自信を失います。結果、せっかく良いストーリーを持っていても 聞き出せずに終わってしまう事がしばしば。
「あなたの話に興味を持っています!賛同しています!もっと聞かせて下さい!」と、そのスタンスで欲しい答えが返ってくるまで、言い回しを変えながら同じ質問を何度かしてみる。こうしたコミュニケーションの中に否定は必要無いように思います。
つまり、相手が話しやすい環境をつくる事がいかに大切かと言う事なので、私は否定から入らないよう心掛けているのです。
2人の息子に対しても 私は同じようにしています。
明らかに「あれ!?勘違いしてるな〜」と思う事も一先ず同意する。
「ほんとだ〜!!」
それから
「あれ!?でも良く見てみるとさ!ほら!! 」と 間違いに気付くよう促します。
最後は「ママも間違えるところだった〜!気をつけないとね!」と、注意喚起を会話の中で済ませるようにしています。
彼らに自分で考えた事や気付いた事を発言する自信をつけて欲しいなと思うからです。

大塚:ママとしても素敵~!勉強になります。ありがとうございます。
それではモチベーションの維持方法、秘訣があれば教えてください。
海附:ママ友と とにかく喋り倒すこと!(笑)
息子の幼稚園は園バスがない為、毎日自転車での送り迎えが必要です。
雨が降ろうが槍が降ろうが、とにかく毎日毎日自転車を走らせ園に通い、そこで幼稚園のママさん達に会います。
「そんなに会っていたら話すことももう無いのでは?」
何故でしょう、、、それでも 毎日毎日話す事があるのです(笑)きっと 同じ時期に育児、家事、仕事をするママ達には 万国共通の悩みがあり、喜びがあり、愚痴があり(笑)それを 互いに話して理解し情報を共有できる安堵感は何にも変えられないストレス発散方法なのではないでしょうか?
ママ友と喋り倒した後は、スッキリ!!モチベーションもアップします↑↑
今日も頑張ろう!皆んなも頑張ってる!と思えるのです。
息子達が体調を崩し、しばらく幼稚園を休むと看病に疲れるからではなく、ママ友と話せないからストレスが溜まるのだなと気付かされる時があります(笑)

大塚:良いですね。喋り倒す!イメージできます(笑)。最後に今後のビジョンをお聞かせください。
海附:ただただ、この仕事を諦めたくない!今は そんな気持ちです。
結婚したから、主婦だから、子供が2人いるから、、、沢山の制限や無理の中で、大抵自分の事は諦めてしまうのが現実。
ママになる前の様に、自由自在に動ける大きな仕事はもう出来ないのかも知れません。
でも、なりたくて仕方のなかった このアナウンサーと言う仕事だけは、諦めたくないなぁと思っています。だって、自分が選んだ仕事ですから。。。
夢を叶える事ができた幸せをこれからも仕事をする事できちんと噛み締めていきたい!!
その為にも、息の長いアナウンサーを目指して、もっともっと自分を磨かなければ!と身の引き締まる思いです。

大塚:グッときました。初心を大切にお互い頑張りましょう。今日はありがとうございます。
海附:ありがとうございました。

海附 雅美(Masami UMITSUKI)
大学卒業後、2002年 〜福島テレビ(フジテレビ系列)報道制作局 報道部 アナウンサーとして入社。2007年〜フリーアナウンサーとして、日本テレビ 朝の情報番組「スッキリ!!」月曜〜金曜のレギュラーリポーターとして出演。
他 テレビ朝日 「サンデースクランブル」「ワイドスクランブル」でもリポーター出演。
JCN「スマートライフ宣言」MCなど。

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