Interview

中條 美和氏

中條 美和氏
インタビュアー:インタビュアー 津田塾大学1年 原口史帆

原口:本日はよろしくお願いいたします。
中條:こちらこそ、よろしくお願いします。

原口:現在の職種を教えてください。
中條:津田塾大学総合政策学部の准教授です。職種としては研究・教育になると思います。

原口:現在の仕事では具体的にどのようなことをされていますか?
中條:投票行動や政治的信頼に関心があり、投票率の変動や災害前後の政治的信頼の変化について研究しています。授業は政治参加、政治制度論、実証政治理論、そしてセミナーを教えています。今年度は全学インクルーシブ委員も務めており、配慮が必要な学生について小平キャンパスと連携して支援しています。学会発表やフィールド調査、他大学の研究者との共同研究打ち合わせなどで出張する機会は多いです。

原口:ここまでのキャリアパスを教えてください。
中條:学部卒業後そのまま大学院に進学しました。修士課程を終え、博士課程在籍中にアメリカに留学しPh.D. program(博士課程)に入りなおしています。日本の大学院の博士課程でも博士論文を提出したので、日本の博士(法学)とアメリカでのPh.D. in Political Scienceの2つの博士号を持っています。北米の大学での就職を目指しいくつか面接を受けましたがオファーをもらえず、日本に戻って早稲田大学高等研究所で助教となりました。その後、札幌にある北海学園大学法学部で2年間教え、昨年度一年間は夫の在外研究の地であるボストンで過ごし、今年度より津田塾大学総合政策学部の准教授に着任しました。

原口:学生時代は何に最も力をいれていましたか?
中條:学部学生の時はフィールドワーク、つまり自分の目で見て聞くことに力を入れていました。例えば、毎年アジア諸国でバックパッカー旅行をし、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ、韓国などを訪れました。スタディツアーに参加することもあれば、日本に来ている留学生や現地で知り合った友達の実家に遊びに行くこともありました。例えばジャカルタ在住のインドネシア人友達と、ジャカルタからバリ島まで電車とバスとタクシーと船を乗り継いで旅したのはいい思い出です。大学では、フィールドワークを重視するゼミで阪神大震災の仮設住宅にお伺いしたり、動燃(動力炉・核燃料開発事業団)に見学に行ったりしましたし、政治家の話を聞くゼミでは竹下登、小沢一郎、菅直人、小泉純一郎各氏などのお話を聞く機会を持ちました。

原口:いつ研究者の道に進もうと決めましたか?
中條:研究者になろう、政治学にたずさわっていきたい、と思ったのは中学生の頃です。小学生の頃から政治に関心があり、テレビで国会中継を見たり、新聞を読んだりしていました。進学先も政治学の研究者になることを目的として決めました。私は第一志望の大学に現役で合格できなかったのですが、再度目指そうと浪人したのはこのためです。

原口:現在の仕事のどういうところが楽しいですか?
中條:研究では分析や論文執筆に熱中しているときは、何時間でも座っているくらい楽しいです。複雑な網目をほどいて整理しなおしていく作業にも似ていて、終わったときはスッキリします。また、授業では学生が笑ってくれたり、思いもよらぬ反応を見せてくれることもあり、学生との交流が楽しいです。

原口:逆に仕事において大変なことはありますか?
中條:研究に関しては、自分で締め切りを設定し管理せねばならないのが大変です。勤務時間の管理もされないので、自己管理能力が問われる職業だと思います。

原口:現在の仕事につく前とついた後では、研究者の仕事に対するイメージは変わりましたか?
中條:大きなイメージは変わっていません。ただ、中学生の時に政治学にたずさわっていきたいと思っていた頃は、現在の政治学がこんなにも「数学」を使うとは思っていませんでした。大学2年の「政治過程論」の授業初日に、その後の指導教官となる蒲島先生が「これからの政治学は数学と英語だ」とおっしゃったのが今でも記憶に残っています。

原口:仕事で心がけていることはありますか?
中條:研究では、全ての作業を記録に残しておくことを心がけています。例えばデータの作成方法、アイデアにいたった経緯、分析手法など、デジタルもしくは手書きで記録しておきます。後でたどれる・繰り返せるようにしておくことは研究上重要なことなので。

原口:これから研究者の道に進もうと考えている学生にメッセージをお願いします!
中條:楽しいよ!研究者にかかわらず、自分が本当に好きなことを仕事にするとよいと思います。

原口:モチベーションの維持方法はなんですか?
中條:好きなことに対しては特にモチベーションがいらないので、うーん。好きではないことでやらねばならないことへのモチベーションは、好きになってしまうか、辞めてしまうか、かもしれません。

原口:休みの日には何をして過ごしていますか?
中條:旅行したり、オペラや歌舞伎を見に行ったり、掃除やアイロンかけたりしています。

原口:何をしている時が一番幸せですか?
中條:家族と一緒にいるときです。

大塚:公私共にコミュニケーションで心がけていることがあれば教えてください。
中條:私には聴覚障害があり、相手の口を読んで理解するので、対面でのコミュニケーションのときは必然的に相手の顔を見ることになります。私の場合は心がけていると言うよりは必要からですが、「顔を見る」というのは重要だと思います。

大塚:では伝える時に心がけていることは、どんなことでしょうか?
中條:全然できていないのですが、伝えるときは内容を一貫させる、ぶれない、という点が大事だと痛感しています。学生に対しても、仕事においても、家族に対しても、です。とりわけ、現在一緒に生活している聴導犬との訓練過程において、犬に指示を出すときには態度を一貫させる必要があるということを学びました。こちらの態度が曖昧だと、犬は混乱して動いてくれません。

大塚:男女問わずカッコいい!魅力的!と言うのは、どんな人ですか?
中條:一言で言うなら自信にあふれている人です。一般に「美人」「かっこいい」と言われている人々がそのように見えるのは、経験や努力に裏打ちされた自信にあふれているからだと思います。

大塚:目標の人物・ロールモデルはいますか?
中條:目標というか、こういう存在になれたらいいなというのはあります。例えば、アメリカのドラマThe West Wing(ザ・ホワイトハウス)には聞こえない(deafの)世論調査員が登場しますが、彼女は手話通訳者を介して専門的知見から的確で痛快なコメントを連発し、強烈な印象を残します。また、同じアメリカのSue Thomas: F.B.Eye(F.B.EYE!! 相棒犬リーと女性捜査官スーの感動!事件簿)という事実に基づくドラマでは聞こえない捜査官が読唇によって捜査に大きな貢献を果たします。どちらも一般的には「社会的弱者」ですが、自分の専門や特性を活かしてチームの一員として一目置かれているという存在です。「チームの一員であること」は障害やハンディを持たない人々にとっては大した目標には思えないかもしれませんが、例えばもし外国語の世界で働く場合、自分としてはちょっと背伸びした世界で働く場合、などはこの意味が分かってくるかと思います。

大塚:最後に学生時代にやっておいた方が良いよ!ということがあればお願いします。
中條:留学をお勧めします!語学的にも経験的にも失敗が許されるのは学生のうちです。学生としての留学の場合、失敗によるダメージは少なく、また失敗を繰り返すことで定着する知識や知見はその後の人生に大きな財産となると思います。

原口・大塚:貴重なお話・お時間ありがとうございました!

中條美和(Miwa NAKAJO)
津田塾大学総合政策学部准教授。博士(法学)(東京大学), Ph.D. in Political Science (Texas A&M University)

<インタビューを終えた感想>
先生の回答から、今のお仕事が大好きで、楽しんでされているというのがすごく良く伝わってきました。私も将来先生のように自分の好きなことを仕事にして、楽しんで働けたらいいなと思いました。

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